田中知世子のひとり言

今回は「ノーリフティングケア」について話しましょう。

「ノーリフティングケア」という言葉を聞いた方はどれくらいおられるでしょうか。

先日社内で、ノーリフティングケアスタンダード化計画説明会で職員に尋ねたところ知っていたのは、全体の25%程度でした。

「持ち上げない、引っ張らない、引きずらないケア」です。

介護現場に30年以上携わっていますが、なぜかこの3点が改善されません。

欧米、特に北欧では、とっくに一般化されているのにです。

私も、デンマークの在宅介護に現地ヘルパーさんと同行し研修しましたが当たり前のように、ベッドの上にレールがあり、スタンディングリフトがあり、在宅で、老々介護を行っていました。

介護の仕事はきついし、給料は安いし、できればやりたくない仕事の一つのように報じられます。また、介護虐待も多く報じられ、施設内、在宅、親族内など様々な状況において発生していることを報じています。

私が考えるのに、給料については政府が介護点数を決め、限られた中での分配ですから、政府が何とかする以外方法はありません。

しかし、「仕事がきつい」の身体的な部分は、この「ノーリフティングケア」で解決できるのではないかと考えます。

介護現場の方はよくわかると思いますが、自分より体の大きい人の介護や介護抵抗のある方の介護など、様々な場面で、持ち上げたり、抱えたり、引きずったりしたことがあるがはずです。当然、心の中に「あーしんど」という言葉が沸き上がりきっと表情にも出ていることでしょう。これを、簡単な道具や機械を使って解消するのです。

「身体のきつさ」から解放されれば、心の疲弊も解消されていくでしょう。

介護職の待遇を緒良くするのは給与だけではなく、先ずは、身体を楽にし、心を楽にし、利用者の心を楽にする「ノーリフティングケア」を始めることが一番です。

「ノーリフティングケア」→「身体が楽になる」→「心が楽になる」→「介護虐待が無くなる」これだけで、介護職、利用者共にハッピーです。

そして、この仕事をしようと考える人も多くなるでしょう。同時に介護の仕事の価値も上がり給与の上昇も望めるはずです。