田中知世子のひとり言

最近読んだ本を皆さんに3冊紹介します。

私は、比較的本を読むことが好きです。ジャンルは様々です。
主には仕事関係になりますが、自己啓発や経営関係も仕事関係の中に入ります。

しかし、少し頭をリラックスさせたいときは、エッセイ本も好きです。
瀬戸内寂聴や林真理子、田辺聖子などもリラックスにはいいですね。

今回は、介護職に転職し様々な経験をされた方々の経験がほんとにリアルに描かれている本3冊紹介します。

ピースクルーズではC&Cアカデミーを運営しご紹介する本に書かれていることを今後経験されるであろう方々を育成しています。

初任者研修で1か月~3か月程度の研修期間、実務者研修で6か月の研修期間で就職します。

あなただけではありません。私もはじめ高齢者介護の現場で驚くことばかりでした。

この3冊をとおして、なぜこの仕事を続けているのかを考えてもらえれば良いかと思います。

3冊読んでみましたが、感想はそれぞれです。しかし結論から言うと「なぜ私は今も介護職を続けているか」ということが書かれています。
このなぜを見ていきましょう。

1)「49歳未経験すっとこ介護はじめました!」著者八万介助 発行小学館
2)「非正規介護職員ヨボヨボ日記」著者真山剛 発行株式会社三五館シンシャ
3)「誰も書かなかった介護現場の実態」著者宇田川ちひろ 発行彩図社

1)は、多分多くの介護職は全員この経験を持っています。

私も持ってます。「介護士は天使じゃない、人間の心の中に悪魔が住む」と私は講座では話します。

「49歳、未経験、男・・・」はさすが漫画家さんです。よく見て感じて、面白く書いてます。泣き笑いですね。漫画の仕事が切れて、生活に困窮してようやく見つけた仕事が介護施設認知症棟のヘルパー。当初は正社員ではなくパートからスタート。

慣れない排泄の介護でおしめからあふれ出す排泄物に孤軍奮闘、ベテラン介護士の人間関係と利用者へいじめなど、福祉やきれいな心からは程遠い現実に、へこたれることなく前進していきます。

しばらくして正社員になるのですが、なったのは簡単に言えば、人が足らなくなったことが主な職場サイドの理由。
作者自身も「職欲しさに安易にこんな世界にはいっていいのだろうか」と言っています。

「心のきれいな人だけしかダメなのではないか」とも言っています。

 


2) この本の作は、1960年生まれ56歳で、初任者研修を習得し介護の世界へ、以来4年のキャリアの現役介護職員です。非正規介護職員ヨボヨボ日記,当年60歳排泄も入浴もさせていただきます・・。と表紙に書かれています。何か悲惨な予感です。
今も介護職を継続されているということから希望を持って読み進みました。

この作者は、大学卒業後デザイン事務所勤務、建設コンサルタント役員、居酒屋経営を経て現在です。「介護現場は、人生の縮図」と言っています。さすが人生の経験を経た方の一言です。この一言の意味が読むそれぞれの人の心に問いかけると思います。

「ほとんどの職員が真面目で献身的に従事しているにもかかわらず、利用者にかみつかれたり、泥棒呼ばわりされたりすることもある。」

そうです、高齢者になれば人間は「好々爺」になる・・。ことはありません。

結論から言うと病気による性格変化はありますが、生きたように老いると思います。
まさに人生の縮図、社会の縮図です。

「この仕事に生きがいを感じ始めたことは全くない。それなのに私はこの仕事を続けている。」とまで言っています。


3) この本は、1986年生まれの介護士としてすでに10年のキャリアです。
ここでは、相模原障害施設の事件を最初に書いています。

「判決に異論はない、しかし、どうしてこの事件は起こったのか」と言っています。
様々な立場からのどうしてこの事件は起こったのかという問いはあるかと思います。

ここでは介護現場、介護士の立場から介護士の置かれている課題を考えています。
2014年におこった高齢者施設の事件も取り上げています。ここでは、「自分は虐待したことはないかという問いに8割近くがないと答えている。」

しかし、この事件の判決に「違和感がある」と作者は言っています。この違和感が介護の仕事の本質と私は考えます。

三冊とも表現は違いますが介護士の仕事の「負」と思えることを表現を変えて書かれています。この3人の作者たちは、この「負」と思えることに真摯に向き合っています。

華やかですてきだなと見えるしごとも、華やかに見せるための大変な当事者の努力や努力だけではどうにもならないものとの葛藤があることでしょう。

介護の仕事は良く「大変ですね。偉いわね」と言われますが、それだけではないことは介護士自身が良く分かっていますし、また「大変ですね」という人の心まで読めます。

でも、この3人の作者がなぜこの仕事を続けているのか、もちろん生活のため、経済的な問題はほかの仕事を選んだ人と同様です。しかし、人生の悲喜こもごもや人間の実質に非常に近いところにいることに気づかされるからだと思います。現実を直視し続けることはしんどいです。しかし、人生の面白さや人間への愛おしさに気づくのも介護の仕事です。この三冊の本の感想は様々と思いますが、軽い感じのところだけでも読んでみてくださいね。

次回は、デイサービスについてお話ししましょう。